cool prince
「…………」
「何だ?不満そうな顔だな」
車内では、私はむっと顔を顰めていた。
先輩は頬杖をつきながら、窓の外を眺めている。
「……別に、」
「…そんなに、嫌だったのか」
「………え?」
「一緒に登校、するのが」
「っ!」
ぱっと先輩の方を見ると、先輩は本当に落ち込んだ様子で。
…………誤解ですよ、陽介先輩。
「……嫌なわけ、ないじゃないですか」
「………だったら、」
「……その、少し恥ずかしかったというか……」
家族に見られたり、住宅街のど真ん中であんな大きな車が来たり。
私は出来れば、一緒に歩いて登校とかが良いんだけどな……。
「………悪かった」
「え、いや!何で謝るんですか、」
「はるに恥ずかしい思いはさせたくないのに」
「…怒ってませんよ?」
「……うん」
子供みたいな先輩が可愛くて、ふふっと笑みが零れる。
しかし、先輩はそれを見逃さなかったようで……。
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