cool prince
「あー、びっくりした!はる、声かけるんだもん!」
「…かけちゃ、駄目だった?」
「あの先輩に平気で声かけるなんて、はるぐらいだわ」
あの後、教室に戻って五時間目を受けた後、千紘が私の机に寄ってきてそう言った。
……そんなに怖いのかな。
「大体、何言われるか分かんないでしょ!はる、噂知らないの?」
「…噂、?」
千紘は私に顔を近づける。
「相良先輩、裏では結構女の人とやっちゃってるらしいの」
「……っ!えっ!?」
「あ、やっちゃってるで意味通じたのね」
顔を赤くした私の反応を見て感心する千紘。
感心するところじゃないよね!?
て、ていうか……
相良先輩が、そんな人だったなんて!
「ほら、もしあそこでああやって声かけてたら……はる、先輩に襲われてたかもよ?」
「ははっ、ないない」
「笑い事かよ!」
「私みたいな一般人、相手にするわけないよ。それに…綺麗じゃないし」
さっきの女の先輩を思い出す。
あんな綺麗な女の人を泣かせるなんて、相良先輩……相当、理想高いのだろうか。
「…まあ、確かに。はるは綺麗じゃなくて、可愛いもんね」
「いやそういうことじゃなくて、」
「でも、気をつけてよ?はる可愛いから、相良先輩じゃなくても色んな人から狙われてるし!」
「……千紘、何それ冗談?」
「こっちは真剣なんですけど!」
今日の千紘は、変だ。
私が『可愛い』とか………ないない!
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