毒舌姫と俺様クールな王子様
汗ばんできた手を握りしめながら、どんどん近づいてくる水崎をチラッと見てみた。
すると、さっきまでいたはずの水崎がその場所からいなくなっていた。
「あれ…?」
さっきまで居たはずの水崎が急に消え、少しキョロキョロしていると、後ろに微かだったけど、人の気配がした。
ゆっくり振り返った。が、そこには誰もいなかった。
「???」
人の気配はしたのに誰もいない…
不思議に思いながら、前を向いた瞬間おでこに痛みが走った。
「ッ〜いった〜…」
おでこを擦りながら前を見ると、さっきまで探していた水崎があの笑みをしながら、立っていた。
「ちょっと!!何するんですか!」
半分、いや半分以上怒りながら言った。
が、水崎の方は余裕の顔でこちらを見下ろしていた。
私はこれでも背が高い方なのに、見下ろされるくらいに水崎は背が高かった。
おでこを抑え睨みながら水崎を見ると、水崎がまた元のクールな顔に戻っていた。