DOLL
2匹の狼が追う羊
ﾋﾉﾄは渋々帰ってきた。


ﾐｸﾞﾚに向かって叫ぶ。

｢ﾐｸﾞﾚ、戦場に向かってくれ！なんとしても国軍の侵攻を阻止しろ！｣

ｲﾗｲﾗして叫ぶﾋﾉﾄにﾐｸﾞﾚは寄りかかっていた壁から身を剥がして訊いた。

｢何かあったの？ﾕﾗがいるはずでしょ？｣


するとﾋﾉﾄはそのまま台に歩いていき、ﾊﾞﾝｯとその台を叩いた。



その音にﾊﾉﾝとﾊｲﾏが陰でﾋﾞｸｯとする。

｢見失った…！！｣

｢ﾕﾗを？何で？｣

奥歯をｷﾞﾘｯとならし、ﾋﾉﾄは一点を睨みつけることしかできない。



そんなﾋﾉﾄにﾐｸﾞﾚは近付いた。

ﾎﾟｹｯﾄに手を突っ込んだまま、ﾋﾉﾄの横顔を見る。


ﾊﾉﾝとﾊｲﾏも歩み寄ってきた。

｢……何だよそれ。おかしいだろ？それじゃ魔術の意味がない｣

｢だからこうなってる。どこにいるかも分からない｣

｢｢…………。｣｣

ﾊﾉﾝとﾊｲﾏは相変わらず無言を保っていた。
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表紙・目次

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