DOLL
「もう何もできないチビじゃねぇんだからよ、魔王の言うこときいてもらおうか。僕たちはただの魔王族にすぎないの、覚えておきな。」

「「…………」」

それでも腑に落ちない様子の2人に続ける。

「……ユラがいなくなったら、次は僕たちの居場所がなくなるよ。ハノンもハイマも嫌でしょ、そんなの」

「「っっ……………!」」

それを聞いて、2人は顔色を変えた。


(それだけは…困る)

(ボクたちの居場所は…)


横目でアイコンタクトを送りあって小さく頷いた。



大きめなフードを被る2人に気付いて、ミグレは落胆するヒノトの肩を触った。


ヒノトも顔を上げて気付く。

ハノンとハイマと目が合った。

「今回だけは手を貸す」

「でも忘れないで。ボクたちはヒノトとミグレとは違うんだよ」

そうハノンが言うと、ハイマがハノンの手を握った。



まるで敵の地に無力で踏み込むような、そんなような決意を固めて走って出て行った。
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