DOLL
ユラはそこまで言って、口を閉ざした。

それを聞いてもなお、ヤナの気持ちは変わらなかった。


(すぐに逃げる準備をしよう…可哀想だけど、ユラを連れていくわけにはいかない)

そう、俯いているユラを見て思った。







「それじゃ、仕事行ってくるから」


ベッドを昨晩から占領してるユラは、朝になってもずっと布団に潜ったままだった。

そんな影に声を投げかけて、鍵はかけずにでた。

(あれ絶対いじけてるし……愛想ついて出て行けばどうせ鍵は閉まらないわけだし)

またヘンなのが入り込んでませんように、と祈りながらドアを閉めた。



その音を布団の中で聞いたユラは身体を起こした。

カーテンも開けずに出て行くヤナ。



代わりにカーテンを開けた。

さっき出て行ったヤナの後ろ姿があった。
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