DOLL
彼らを動かしているのは深い欲望だった。

力を注がれるユラもそれに染まっていく。

「やだよっ………私は……っ…………!」


溢れ出す涙を拭けぬまま、ユラは何度も同じことを繰り返した。

「っ……死にたい…っ!」

しかしそのわがままは叶わない。


必死に願ってもヒノトたちは聞く耳を持たなかった。



再び欲望の渦に巻き込まれるのには時間がかからなかった。







煙りがもくもくと出ている工場地帯―。


そこではいつも何万人という人々が働いていた。

戦争で使う武器を作っている。



鉄の溶ける、嫌な臭いには、長いこと仕事をしていると慣れてくる。

「ヤナ、こっち手伝え!そっちは手が足りてる!!」

「はっ、はい!」
< 4 / 40 >

この作品をシェア

pagetop