DOLL
それを端から見ていた同じ作業員がこそこそと話す。

「あれが第1線を切り開いてきた大尉の息子だって?笑わせないでくれよ」

「マジだって!だけど、役に立たないからってこの工場の作業員に送られてきたんだってさ」

「えぇ……これから戦争どうなるんだよ…?俺達、アンマズラ軍に丸焼きにされるのか??」

「いいから、早く手を動かせ。ヤナみたいに叱られるぜ」


その話を、思わず手を止めて聞いてしまった。



別に否定する気はない。

役立たずで弱虫で小心者。

そんなこと自分でも嫌な程、知っている。

親を憎む気もない。


でも、親から与えられた期待と現実のギャップに嫌気がさしていた。

(期待されても、それに応える能力が僕にはない…。)



「また逃がしたみたいだな」

「ったく、軍の奴らは何やってんだよ」

機材を運ぶ作業員の言葉をふと耳にした。


名前を出さなくても何だか分かる。

「生身の人間に魔術をかけ、不死の身体にした人形"アンマニー"…主人の思いを受け継ぐ"人型戦機"」
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