秘密なこと
「だからって…」


私の不安をよそにお姉ちゃんは話を進める。



「モデル業しかやらない『LIR』。CMやドラマのオファーがあっても全部拒否。ただし雑誌のインタビューには答える。それはなぜ?」



「声が世間に出ると勘の良い人にはバレるから…。雑誌のインタビューは文字だからバレないでしょ?」


「ならいっそのこと言いなさいよ。バレないようにビクビク暮らすのもどうかと思うわよ?」



「でも…」



「『でも…』じゃない!!それになんなの!?そのブサイクメイクは!!学校の美女と名高いこの私の妹がブサイクだったら恥ずかしいのよ!!」



「絶対そっちが本音でしょ…。」



「あ、バレた?」ペロッと舌を出すお姉ちゃんは女の私から見ても可愛かった。

「とにかく!!」私は手を叩いてドアノブを握る。


「今日は早退するから!!以上!!」そう言って素早く保健室を出た。
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