秘密なこと
キーンコーンカーンコーン………

授業終了のチャイムが鳴り、先生が出て行ったのを見てから私も出ていく。


途中、保健室に寄って「お姉ちゃんよろしく!!」と叫んでおいた。


校門を出ると黒いワゴン車が止まっていた。


「お待たせしました!!」



「よし!!じゃあ行くわよ!」マネージャーの河東 沙良さんが車をゆっくりと発進させる。



「LIR…メイク落として来なかったのね。」



「時間が無かったんですよぉ…。」



「そりゃそうかも知れないけど、スタッフさんがビックリするわよ?」



「そうかなぁ…。まぁ、スタジオ着いたらすぐ落とすし。」



「そうしてちょうだい。スタジオまで、まだかかるけど…寝る?」



「ううん。授業の復習しちゃう。」
カバンの中から教科書とノートを取り出す。



「そ。でも結構早く着くわよ?」



「少しの時間も無駄にはできないから。」

私がそう言って教科書に目を通し始めると、河東さんは何も言わなくなった。


気を使ってくれたみたい。
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