彼の瞳はご用心!
理科室まで全力疾走。
「こらぁ!! 廊下は歩きなさい!」
またかよ。
先生に注意されながらも私はダッシュ。
けれど、それと同じく前にいる人に気がつかずに…!!!
「えっ、ちょっと。えッ?!」
どっすーん!
私が一方的にぶつかった始末。
はい。すいません。
前にいたのは男子生徒だった。
前髪が目にかかるほど長く黒縁のメガネ。
肩より2センチほど長い髪。
「ごめんなさい!!」
私は膝を床につけて頭を下ろした。
「いえ、今のは僕の不注意です」
そういってメガネをかけ直す。
そして廊下に散らばった教科書を集めた。
「ごめんなさい。私も手伝います」
私も一緒になって拾う。
…あれ。
2年1組?
私と同じクラス。
次は移動教室なのにこんなところで?
次に疑ったのは、
「…このノート」
そのノートにはばっちり
『2年1組 峯岸結衣』
と書かれている。