時間は流れているんだね
どのくらいここに立って居たのだろうか──…。チャイムの音が聞こえる。それと同時に遠くの方で生徒のざわめき声が聞こえ始めた。私はケータイで時間を確認しようとしてポケットを探ったが見当たらない…ケータイを教室に忘れて来たようだ。


教室に戻ろうにも楓に会いたくない…。今、会ってしまったらどうなるのか自分でも分からなかったから…。


きっと美里も心配してる。

でも結局楓のことを断ることが出来なかった。


それに『ずっと』っていつから楓は私のことを好きだったのだろうか…。


私が楓を幼なじみや親友として遊んだりしているときも…楓は私とは違う気持ちで私と居たのだろうか…。


楓──…。
ごめんね…。気付いてげられなくて…。私…楓の気持ちに答えれそうにないよ。私、やっぱり準が好きなの。会ったばかりでまだどんな人かもよく分からないし、次いつ会えるかも分からない。


でもね?ひとつだけ言えることは準は優しいということ。そして私は準の笑顔が見たいんだ。私が笑顔にさせてあげたいんだ。無理かもしれない…でも諦めたくない。そして私も準の隣で…一緒に笑いたいな…。


やっぱり…楓にはちゃんと謝ろう。楓なら絶対分かってくれる…。


私は今日二度目の意を決して図書室を後にした。
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