時間は流れているんだね
どうやら私は大分長い間図書室にいたらしい。さっきのチャイムは給食の時間を伝える物だった。たくさんの人が廊下に居て。給食当番の人が白い割烹着(かっぽうぎ)を来て給食の乗ったワゴンを運んでいる。



見慣れた教室が目に飛び込んで来た。私は拳を握りしめ教室に足を踏み入れた。

「夢──────っ!!」


美里が飛び付いて来た。私はあまりにも突然のこと過ぎて後ろによろけた。


「あんたどこ行ってたの!!?すごく心配したんだから!!」


「ごめんね。訳は帰りに話すわ……。」


美里は「うん」とうなずいて給食の準備に誘ってくれた。私も給食の列に並ぶともう準備を終えて席に着いた楓の姿が見えた。


また図書室での光景が頭を過った。私……楓とキスしたんだ……。準……。


「夢…?どうしたの?」


「へっ?」


私の目からはいつの間にか涙が流れていた。私は制服の袖でそれを拭った。


「なんでもないよ!!」


私はそう言って笑って見せた。本当はなんでもなくはないよ。辛いよ…。


準……。
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