時間は流れているんだね
お姉ちゃんと洋さんはその後お姉ちゃんの部屋に行き必要な物を旅行カバンに詰め込んだ。


家具など他に必要なものは洋さんの家に有るものを送るらしく。お姉ちゃんのカバンの中には主に服や下着など最低限の物しか入っていないみたいだ。


「夢っ!!ちょっとこっちに来て!!」


お姉ちゃんに突然呼ばれた私は小走りで駆け寄った。

「どうしたの?」


お姉ちゃんは笑顔で私の手を取ると何か冷たいものを握らした。


私は首を傾げて手を広げて渡されたそれを見た。そして、それを見た瞬間私は驚いた。


「お姉ちゃん……!!これっ!!」


私がお姉ちゃんに渡された物は、お姉ちゃんが正谷さんから貰ったあの空色のハート型をしたネックレスだった。


「夢…。それさ、次に私が帰って来るまで持ってて?

と言ってもいつ帰るか分からないけど。」


お姉ちゃんは笑顔で言った。


「でもこれ……正谷さんから貰った大切な物でしょ?
そんな大切な物……。」


「夢さ…私の大切な物なら大切にしてくれるでしょ?」

私が大きく頷くと、お姉ちゃんは優しく微笑んだ。


「あのね?私と洋が出会えたのってなんだか正谷の……このネックレスのおかげな気がするの。


大切な人と出会える力がこのネックレスにはある気がする…。


だから夢にも大切な人がちゃんと分かるように!!ねっ?」


お姉ちゃんはそう言って私の手を握りまた閉じた。


「お姉ちゃんありがとう。

私…頑張るね!!」


「夢はやっぱり笑ってた方がかわいいよ!!

じゃあ私はそろそろ行くね。」


お姉ちゃんはそう言って洋さんの方に小走りで行ってしまった。


私はネックレスをもう一度見て再び握り締めた。


お姉ちゃんはその後お母さんと少し話しをして帰った。


洋さんの元に。


愛する人の元に──…。



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