時間は流れているんだね
「理香…。しっかりやりなさいよ!!」


「うん。私、頑張るから。たまにだけど電話するねー。」


お母さんと話をしているお姉ちゃんを見ていたら突然美里につつかれた。


「どうしたの?」


私の反応に美里は呆れたようにため息をついた。


「どうしたの?じゃないでしょ。


アレ渡さないつもり!?」


アレ……?


あっ!!そういえば…すっかり忘れてた。


「お姉ちゃん!!」


お姉ちゃんは不思議そうな表情で私を見た。


「あのね!!これお姉ちゃんに…!!」


私はカバンからピンクの包装紙で綺麗にラッピングされた長方形の小箱を取り出してお姉ちゃんに渡した。

「開けていい?」


私は首を大きく縦に振った。
お姉ちゃんは包装紙を器用に外すと箱を開けた。


「夢…。どうしたのこれ?」

「プレゼントだよ。結婚祝い。

安物でごめんね?」


お姉ちゃんは箱からシルバーの華奢なチェーンのトップに薄いピンク色の硝子でできたハートのついたネックレスを取り出して眺めた。

これは私がこの1週間お姉ちゃんに似合うネックレスを探して見つけた物。


お姉ちゃんには派手な物よりシンプルな物の方が似合う気がしてこれにしたんだ。


私はお姉ちゃんの表情を伺った。


「どう…かな?」


「夢…ありがとう!!


ずっと大切にするね!!」


お姉ちゃんは眩しいくらいの満面な笑みで私に言った。


私も、安心とお姉ちゃんの笑顔につられて笑った。


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