好きなんだ*部活恋愛*
何カ月か経った今。

周りの子は私のことを
「和泉ちゃん」と呼ぶようになった。
誠くんの作戦通りで・・・
私は『誠くん』と呼ぶのも
ためらうことが無くなって・・・
いつの間にか私たちも仲良くなってた。

問題なく、どんどん変わっていく
私たちの環境に私はためらいながらも付いていった。

「誠くん?」

私は放課後の教室で
いつもは迎えに来るのにこない誠くんを
ずっと探していた。

ケータイをかけても出ないし・・
どこに行ったんだろ?

誠くんのクラスへも行った。
図書室、美術室、裏庭、校庭、
グラウンド、体育館・・・どこ?

私は暗くなってきた廊下を歩くと
美術室の前に着いた。
美術室は明かりが灯っていて・・
私はそっと、扉を開けた。

「・・・あ、いた」

誠くんはさっさっと筆を進ませている。
あのいつもの着崩した制服に
絵具で汚れたエプロンをしていて
何か、絵を描いている。
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