いつかどこかで…
謙吾は車を下げて…降りてきた。


どうしよう。二人、にらみ合い。


こんな祐治初めて見た。

謙吾が私に近づいて、手振りで窓を開けろって…してる。


つい開けてしまった。

『理沙…何してんの?』

私の膝の上の紙袋を覗き込んだ。


『あ…』


祐治が車に乗り込み…謙吾を振り切るように走りだした。

振り返るのが怖かった。


祐治が、紙袋を抱き締めてる私の手にそっと、手を重ねてくれた。


どれだけ走っただろう。


彼が私の頭を撫でながら

『理沙…何持ってきてくれたの?』


優しい彼の声に…さっきまでの緊張がゆっくりと溶けていく。



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