いつかどこかで…
『きんとん…持ってきたの。私が作ったの』

何故だか…謙吾の顔がちらついた。一人ぼっちの謙吾。


祐治は車を停めて、私を抱き締めた。

『祐治…嬉しい…』


優しく唇を重ねて…何度も何度も…キスをした。


胸がドキドキして苦しい。苦しいよ…。


長い時間、唇を重ねて…舌を絡ませながら抱き合った。

そっと唇を離したら…、彼が私の頬を撫でて

『きんとん…食べていい?』


私達…不倫だからクリスマスとかお正月とか、イベントはいつもスルーだったから…なんだか夢みたい。


『食べてみて…あ。でもクチナシ入れてなかった…』

私が作ったきんとんを…祐治が食べてくれる。


『うん…美味い。理沙、御節作れるんだね』


恥ずかしい…きんとんだけなのに。
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