いつかどこかで…
『音楽聞いてもいい?』

『いいよ…。持ってきたの?準備いいね』


私の好きな西野カナ。


どんな所に泊まるのかな…。わくわくする。

ついつい歌ってしまう私。


『あ〜。聞いたことあるよ。この曲』

暗い夜道を走る車の先をライトが照らしだす。カーブを曲がり、直線になるとスピードが上がる…。


運転する彼が大好き。カッコいい。


信号待ちで、彼の横顔を見つめていたら…そっとキスしてくれた。


『たまにしか会えないからつまらないだろ。』


ちょっと…ギクリとした。謙吾との事が頭を過った。

『理沙…まだ俺が好きか?』


『大好きよ…』


彼はタバコに火を点けて窓を少し開けて煙を吐いた。

『理沙…離したくない。あいつに渡したくない』


心臓をギュッと掴まれたような気がした。


『祐治…』


『凄くいいところに連れて行くよ。』


愛してるって初めて言ってくれて、今日は…離したくないって言ってくれた。


彼の肩にもたれて…。夢のような気持ちで車に揺られていた。


少しウトウトしていたら彼は優しく頭を撫でてくれた。

『起こしてやるよ…眠っていいよ。』


彼の肩に持たれて眠ってしまった。


彼の…いいにおい。タバコの香り。ずっとこのままでいたい…。

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