いつかどこかで…
彼は優しい。私にすごく優しいの。大切にしてくれてる。

私を離さないって言ってくれた。


それは、ずっと、不倫関係を続けるってこと。


それが不憫だから、せめて自由にしろというのね。

謙吾にも会えばいいと。


そうしてでも、離したくないと言ってくれることが嬉しかった。


朝食も食べて、二人の時間は夢のように過ぎていく。

着替えていたら、彼が優しく抱き締めて…。


『理沙…いつかまた連れてくる。』


『うん…きっとよ』


お化粧する私の後ろに立って髪を解いてくれる。


『理沙…いい香りがするね』

見られているとメイクしにくい…。


『化粧しなくてもいいのに…綺麗だよ…』

メイクとはいっても、私はファンデ、口紅、眉、チークだけなんだ。あんまりかわんない。


優しく髪をときながら…

『もっと一緒に居たいけど…このまま帰らなくちゃいけない…ごめんな』


< 130 / 180 >

この作品をシェア

pagetop