いつかどこかで…
パンフレットを謙吾に渡した。

謙吾は私をジロジロ見て


『なんだよ。お洒落しちゃってさ。帰ったばっかりか?早かったな』


ナビを操作して、直ぐに車を出した。

パンフレットを返して

『こんなとこ泊まりやがって…電話しとけよ。発送しちまうかもよ、ネコ』


私は慌てて電話した。

なんかバタバタしてたけど…。結局、謙吾の車に乗ってる。


謙吾は始終文句ばっかり。

『ばかやろ。不倫旅行かよ。けっ』

『なんで、香水付けてんの』

『あ〜。やってらんね〜。』


さすがに私も頭に来てしまった。

『もう!降ろしてっ。やっぱりネコは送ってもらうからっ』

携帯を取り出した私の手を押さえて

『ごめん。ごめん。』


私と謙吾は、祐治とさっき通って来たばかりの道を…たどっていく。


なんで…車に乗ってしまったのかなあ。

祐治が好きで…謙吾には会わないようにしようって、何度も思うのに。

声を聞けば…私は…。


謙吾にも甘えてしまっている。
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