いつかどこかで…
部屋に漂うコーヒーの香り。幸せな気持ちになる。


熱いコーヒーをフウフウしながら飲もうとしたら彼が笑って。


『慌てて飲むなよ…泊まれって言わないから。ゆっくり飲んで。』


二人でコーヒー飲みながら。知り合った頃のように映画の話をしたりした。


笑う謙吾。素敵だなって思ったのが一年前。


こんな仲になるなんて思いもしなかった。


カップを置いて謙吾が私を抱きしめ…唇が近寄ってくる。


『謙吾…』

私のカップを取ってテーブルに置いた。

『また冷めちゃうよ』

『そしたら、また入れ直すから…』


優しく謙吾の唇が私に触れた。私の頭をしっかりと押さえて…逃げられない。


『ん…っ…』

ほんの少し唇を離して私の名前を囁く。

『理沙…好きだよ…理沙…愛してる』

『謙吾…』

苦しい位に抱き締められた。


どれだけそうしていただろう。

やっと私を解放して、


『コーヒー飲んで。送るよ…』
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