いつかどこかで…
『1人で生む。祐治…あなたが好き。…愛してる。謙吾を好きな気持ちごと受けとめて…私は…祐治も謙吾も好き。…二人のどちらかが私から去っても。二人とも去っても…』


祐治は…どちらの子かはっきりさせようなどと言わなかった。謙吾と同じ。


『祐治…私がどちらか一人を選ぶかもしれないし、二人とも選ばないかもしれないし…二人を愛し続けるかも…そんな私はもう嫌?』


祐治は苦しんでいる。私も、謙吾も。苦しんでいる。


祐治の家族にも…苦しみを与えてる。きっと。


『理沙。俺が離婚出来ないでいるのは…』


『言わないで…聞いたら多分…もう二度と幸せを感じられない人間になる。この子を産めなくなるわ…どうか…言わないで』

彼は…私の手を握りしめて下を向いた。
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