いつかどこかで…
『謙吾…謙吾…』


優しく唇を吸われながら…私から甘えるように身体を擦り寄せた。

『ああ…っ』


ただただ寂しくて…。ごめんね…。


『理沙…』


あまりにも優しく抱いてくれるから…涙が溢れてきて…。

『謙吾…ありがと…』



『ありがとなんて言うなよ…俺はずっと理沙が好きだった。一年前に理沙と初めて話した時から…』


そうだったの…。私が祐治を忘れられなくて苦しかった一年間…私を思ってくれてたの…。


『キスして…お願い…』


『理沙…大好きだよ…』


また私は人の大切なものに手を出したのね。


奪うことは出来ないくせに、手を出して、捨てられるくせに。



『謙吾…強く抱き締めて…お願い…』


いずれ…私は一人になる。誰もいなくなる。


今だけは…愛して。一緒に居てくれる時だけは。


祐治を忘れることは出来ないけど、謙吾が一緒に居てくれる時は謙吾の事だけ…考える。


『謙吾…』

『理沙…』

身体を重ね…揺れて…見つめて…見つめられて…


時間を忘れて抱き合った。
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