いつかどこかで…
突然来た謙吾からのメール。
[俺さ、離婚するよ…。こないだのところに8時にきて]
離婚?赤ちゃん生まれたばかりなのに?
謙吾に電話した。
電話に出ない。
わざと出ないのね…。
会いに行きたくなかった。でも話はしたかった。
待ち合わせ場所には行ったけど、車には乗らなかった。
『寒いから…乗ってよ。何もしないから。』
12月に入ってさすがに体の芯まで冷えそうだけど耐えた。
諦めて車を降りた彼は私の手を取って歩きだした。
『この先の喫茶店いこう』
無言で歩く…。彼が掴んだ手を振りほどいた。
また掴まる。
振りほどく。
喫茶店に入って、上着を脱いだ彼を見て、はっとした。
首に付けたキスマーク。私が仕返しで付けたキスマークが黒く…なってる。
『理沙のも…黒くなったね…』
コーヒー頼んで、彼は私の頬を撫でた。