いつかどこかで…
『赤ちゃん…可愛くないの?良く考えてよ…。あなたの子供でしょ』


私がいう筋合いじゃないけど。自分の子供を簡単に離せるもんかな。


私の携帯が鳴って…


祐治からだった。
『うん…今から帰る…うん』


謙吾は大きな溜め息をつく。

謙吾は私の為に離婚するわけじゃないし、まだ離婚してるわけでもない。しない気がする。


『謙吾…帰るね…』


立ち上がった私の手を掴んだ謙吾の目が潤んでる。


『理沙が好きなんだって…。理沙も俺を好きなんだろ…あんなに悦んで抱かれただろ?』


店の人が見てる…。


『やめてよ謙吾…謙吾のこと好きだよ。でもこんな風になりたくない。』


『訳わかんねぇ…』


駐車場まで一緒に歩いた。もう手を繋ごうとはしない。

『謙吾…』

奥さんに許してもらって…っていいたかったけど、止めた。


『じゃあね…』


家に向かって歩きだした私に

『理沙…やっぱり好きだよ。』


振り返って彼を見た。


彼は微笑んで車に乗って行ってしまった。


家の前にはもう祐治の車が停まってた。
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