きみへのおくりもの
カゴの中の小さな命
放課後ー
和也と加里奈は体育館前の石段のところに腰かけて、校庭での野球部の練習風景を眺めていた。
「ホントびっくりしちゃったよ。まさか、こんなところで会えるなんて思っても見なかった」
「わたしもよ。出席名簿にあなたの名前があって、只の偶然かなぁって思ったんだけど、こんなこともあるのね」
「俺・・・あれから3日間もあのショーウィンドーの前でずっと加里奈さん・・いや、先生のこと待ってた。あそこにいれば、また会えそうな気がしたから・・・」
「わたしに会うために・・?」「うん・・・。俺の気持ちをちゃんと伝えようと思って・・・俺・・」
一旦言葉を切ってから一気にその想いを打ち明けようとした時、加里奈が右手の人差し指で和也の口をふさいだ。
「ダメよっ。大人をからかっちゃ・・・」
「からかってなんかない。本気だよ」
神妙な顔で加里奈の指を振り払って抗議する。
「あなたは、わたしの生徒よ。わたしに告白して何って答えて欲しいの?」
「・・・・」
予想だの問いに言葉が出て来なかった。別に何かを求めるために告白しようと思っていた訳じゃなく、只気持ちを伝えたい。ーその一心だけだった。
「わたしはあなたの気持ちには応えてあげられない。理由はわかる
< 10 / 37 >

この作品をシェア

pagetop