きみへのおくりもの
ら缶ビールを取り出す。プルトップを引いて和也に差し出した。
「ちょっと・・・俺、高校生だよ・・・!?」
「関係ねぇーよ。俺だってまだ18だ。こいつを飲めばイヤなことだってわすれらる。ほら」
和也はしぶしぶ受け取った。不意に加里奈から言われた言葉が脳裏を過る。
ーわたしはあなたの気持ちには応えてあげられない。理由はわかるでしょ。あなたはわたしの生徒だし、わたしも生徒に恋愛感情なんて持てないわー
「これ飲めば、イヤなことも忘れられる・・・?」
「おう。忘れられるぜー」 和也は缶ビールを見つめた。そして、一気飲み。 「お〜!一気飲みかよ。おし〜♪俺もやるぜー」
リュウジも和也に続いて一気飲みする。
和也の目は缶ビールに1本飲んだだけで虚ろな目になった。

「先生は何しに来たんですか」
病室では、相変わらず素っ気ない態度のサトシ。けど、加里奈は嫌な顔一つせず、明るい表情で受け答えをする。
「わたしのクラスでまだ登校して来てないの神山君だけだから、今日は顔を見に来ただけ」
「それなら僕のことは忘れて下さい。学校に行けるような身体じゃないですから」
そこで加里奈はクスッと笑った。
「何がおかしいんですか!」


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