きみへのおくりもの
加里奈は急いで病室を出て行った。
サトシもベッドから車椅子に移り、加里奈の後を追った。

「和也、お前はサイコーのダチだぜ!」
「おうよ〜。リュウジもサイコー☆」
和也とリュウジは待合室で肩を組んで騒いでいた。
そこには開いた缶ビールが何本も転がっている。 「何やってんのって見ればわかるでしょ〜 お歌歌ってんの。ポッポッポーカラスポッポー〜」
リュウジが元気よく歌い出す。
「ちがう。ちがう。カラスじゃなくてハート、ハート」
和也が左手で自分の胸を何度も叩く。
「ち・・・ちょっと和也君!何で酔っぱらってんのよ!?」 待合室に駆けつけた加里奈は驚きの目を見張った。
「あっ、リュウジ〜俺のエンジェル。でも、何か怖い顔している」
「おー☆やっと来たー。こいつ、アンタに惚れているらしいんぜ」
「もうその話はいいのっ♪〜。ふられちゃったからおーしまい」
そして、すこし、遅れてサトシが人だかりの中から車椅子で姿を現した。目を丸くして、言葉を失っている。
「おっ、心臓病〜♪〜お前も飲めよ。これ飲んでイヤなこと忘れちまえー」
千鳥足でサトシに缶ビールを渡そうとするリュウジ。
「いい加減にしなさい!」
とうとうキレてしまった加里奈がリュウジの前に乗り出す。
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