きみへのおくりもの
せっかくの日曜日なんだからさ、彼氏使えばいいだろ。そのほうが姉・・あっ・・」
言ってしまってから口をつぐんだ。
そうだった。姉貴は昨日、彼氏に振られて焼酎をくらって帰って来たんだっけ。だから、今日はこうして俺が犠牲を負うはめになった・・・。もちろん、今の姉貴には彼氏という言葉はスッピンお化けよりも禁句だ。
「なぁ〜に?」
不意に立ち止まって振り向く。鬼のような形相から不気味な笑みに変わった。
「え、あ、その〜なんっていうか・・・昨日の天気予報が曇り時々雨だったのに今日のよく晴れたこと・・か・・買い物日和だなーって思っ・・・」
バチン!
強烈なパンチが飛んできた。
「だよねっ。しかも、グーかよ!?」
和也は悩み深そうにため息をついた。
そして、ようやく買い物を終えると、バス停でバスが来るのを待った。
誰かにメールを打っている姉をよそに、和也は欠伸をしながら何気なく歩道の方に顔を向けた。
すると、たくさんの人が行き交う中、ショーウィンドーの前に立ち止まって中に飾られているウェディングドレスを眺めている女性の姿が目に止まった。
広末涼子似のショートカット。グレーのパンツスーツに白いブラウス。
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