きみへのおくりもの
「もうあんなことしないでね。何か悩みごとがあるんなら、暴走しないでわたしに相談して」
何言ってんだよ。俺はアンタに気持ちを伝えようとしたら、いきなり冷たく振られたから暴走しちまったんだろが・・・
「ねぇーわかった?」
「え、あ・・・うん。ホントごめんなさい」

それから一週間が経ち、自宅謹慎も無事に解けた和也は、学校から戻ると、自宅から自転車をかっ飛ばしてサトシの病院に向かった。
今日はサトシの誕生日。自転車のカゴの中にはサトシの大好物のショートケーキが入っている。急がなくちゃ・・・
「また赤信号かよ」
舌打ちして仕方なく、ブレーキをかけて自転車を止める。
タイミングのよし悪しと言うものが一度赤信号に引っ掛かると、信号の度に赤で止まらなくてはならない。
「和也」
不意に呼ばれた方に振り向く。
「リュウジ!」
赤信号で止まっているセダン型の白い車の運転席にリュウジの姿があった。
「よっ、どこ行くんだ」
「サトシのところ。今日はサトシの誕生日なんだ」 「じゃ俺も行くぜ。チャリ後ろに乗せろよ」
リュウジはそう言いながら車から降りると、信号が青に変わる前にと急いで和也とトランクに自転車を載せて車に乗り込んだ。
リュウジの車は、トランクを半開きしたままサトシの病院に向けられた。
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