きみへのおくりもの
「トン、トン、トン」
「和也か?入れよ」
「チィ〜スー」
和也とリュウジが病室に入ると、サトシはベッドに横たわりながらサッカーマガジンを読んでいた。
「サトシ、誕生日おめでとう〜♪ほら、ショートケーキ」
和也がショートケーキの入った箱を袋ごとサトシに渡す。
「やったー♪ショートケーキ☆」
サトシはすぐに袋から取り出して箱を開け
「うわ〜おいしそう」
と再び喜んだ。
「子供みたいなヤツだな。ショートケーキでそんなに喜ぶなんてよ」
「リュウジは何もないの?」
「何もないのって・・・さっき和也から聞いて知ったんだ。今日が誕生日だってわかってたら、マブいエロ本調達してきてやったのに」
「エロ本はもういいよ。リュウジはいつもエロ本ばっかじゃないか」
「ったくしょうがねーヤツだな。ぜいたく言いやがって・・・」
リュウジは首からロケット型のペンダントを外して、サトシの首にかけた。
「これ・・・くれるの・・・?」
「あーやるよ。それ付けてるとな。苦しかったことが不思議と乗り越えられたりするんだ。親父の形見なんだけど、もう俺には必要ない。今はお前が付けていたほうがいい。大事にしろよ」
「うん・・・」
サトシは大事にするねと笑顔で頷いた。
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