きみへのおくりもの
「・・・」
「なぁ、和也、リュウジ、教えてくれよ。心臓病の人は何もしちゃいけないの?心臓を少しでも長く動かすために僕はずっとここにいなくちゃならないの?なぁ、教えてくれよ」

そうさ。大人はいつも矛盾したことを言う。
夢を持てと教えられ、夢を抱き、その夢に向かって走り出せば、今度はいつまでも夢を見るなってその夢を捨てられてしまう。
いったい、俺たちは誰の言葉を信じて生きていけばいいんだ。


その日の夜ー
ナースステーション前の時計が午後10時を回った頃、黒色のヘルメットを被った男が懐中電灯を持って「401」号室の前で立ち止まった。
「神山聡様」と記されたネームプレートを懐中電灯の光を顔に向けられ、まびしそうに薄らと目を開けた。
「・・・誰だ!!!ーンーッンー」
ヘルメット男があわててサトシの口を塞ぐ。そして、そのまま病室からサトシを連れ出した。

病院裏の駐車場では、50台もの族車がエンジンを切って待機している。 ヘルメット男はサトシをバイクの後ろに乗せた。ヘルメットを脱ぐ。
「何だ・・・リュウジか。驚かせんなよ。いったい何だよ・・・これ」
「みんなー、今日は心臓病の激励集会だ。気合い入れて行くそ゛!」
「おう!」
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