きみへのおくりもの
「お前はんは、人生を損するタイプやな」
「俺はそうは思わない」 「そぉ〜か。せやけど、坊主のおかげでほんまに助かったわっ。ありがとうーなぁ」
「いいって」
和也はとても懐かしい田舎のばあちゃんと同じ温もりを感じながら、駅構内の階段を昇った。

ガチャッ
学校から帰宅して家の玄関ドアを開く。
部屋に入り、ベッドにカバンを放り投げた時、
〜♪〜♪〜♪〜
ポケットの中で携帯電話がなった。
取り出すと、ディスプレイにはリュウジの名前が。
「な〜に〜♪」
「電話、大丈夫か」
「うん。今、家帰ってきたとこ」
「そっか。実は頼みがあるんだ。来週の日曜・・・暇か?」
「たぶん大丈夫だと思うけど・・・」
「よかった。じゃ来週の日曜。星明学園っていうところでお誕生会があるんだけどさ・・・ そこに心臓病連れて来て欲しいんだ」「連れてくるって、どうやって・・・まさか!?」
和也は数日前、リュウジがサトシを病院から無断で連れ出して集会に参加させたことをサトシから聞いて知っていた。
「いや、今度は時間が昼間だから、かっさらうことはできねェー。だから、和也に頼みがあるんだ」
「俺にどうしろっていうんだよ」
「マドンナ先生に頼んで、病院の許可もらえないかって思って・・・」
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