きみへのおくりもの
「なんだ、そんなことか。いいよ。俺から話してみるよ」
「じゃ頼んだんだぞ。また電話する」
電話を切ると、すぐに加里奈の携帯電話の番号をプッシュした。
何かあった時のためと、半ばごり押しで聞き出した彼女の携帯の番号。
かけるのは今日が初めて。
そう思うと、何だかヘンに緊張してしまう。
ここは一発、冗談をかまして。
「和也くん〜何かあったの?」
「先生!またビール呑んで騒いでま〜す♪今度はモアイ像にのぼって・・・☆」 「え!!!」
「って言うのはウソだけど」
「もう〜びっくりした。あんまり悪い冗談は言わないでよ」
「ごめん、ごめん」
「で、どうしたの?」
「あー、リュウジから頼まれたんだけど、来週の日曜に星明学園っていうところでお誕生会があるらしいんだ。で、先生に病院の許可をとってもらって、サトシを連れてきてほしいって言うんだ。でも、あいつがお誕生会って言うと何か不気味だよなー。星明学園って聞いたことないし・・・」
「星明って、もしかして・・・」
「え・・・?先生、知ってんの」
「うん。聞いたことあるわ。サトシ君の件、とりあえずお母さんのほうに相談してみるね」
「うん。じゃお願いします」

そして、日曜日ー
サトシの外出が許可された。
< 29 / 37 >

この作品をシェア

pagetop