きみへのおくりもの
年齢は20歳前後といったところかな。背は並んだら多分、彼女のほうが少しぐらい低いかも。
一目惚れの予感を胸に抱きながら、彼女の姿に目を奪われていた。
「キャー」
突然、広末涼子が悲鳴をあげた。通りすがりの男はにぶつかってその勢いで歩道に倒れ込む。 違う。・・ひったくりだ。「誰か・・・泥棒・・・」
か細い声で力なく叫ぶ。 しかし、街中の雑踏にかき消されて、彼女の助けに応じる人はいない。
和也は腹を決めた。迷いなんてなかった。
持っているすべてのものを宙に放り投げ、背中で姉貴の叫び声を聞きながら逃走するひったくり野郎を追いかけた。
「ちょっと、和也!? アンタ何やってんの!」
説明している余裕はない。
「待てー・・・ひったくり野郎!」
こいつを捕まえるんだ。絶対に逃がさない・・・
この時、何かが変わり始めようとしているのを予期していたのか、とにかく懸命になって走った。もしかしたら、彼女への想いは、この時点から始まっていたのかもしれない。
部活で鍛え上げた足が更に加速する。その距離・15メートル、10メートルー一段と縮まっていく。
今だ!
1メートル程までに追いつくと、飛びかかった。二人して道路に転
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