きみへのおくりもの
「もしかして・・・リュウジ君って、ここの卒業生?」 まだ呆然としている和也とサトシの横で、京子先生に訪ねた。
「はい。リュウジ君は中学に上がったばっかりの頃に事故に遭って、リュウジ君以外の家族はみんな死んじゃったんです」
和也とサトシが振り向く。 「そのあとおばあちゃんに引き取られたんだけど、おばあちゃんも病気で死んじゃって・・・それでリュウジ君はここに預けられることになった。退園してからはお誕生会とクリスマス会のときは、ああやってみんなを励ましに来てくれる。リュウジ君の手話も上手でしょ」
「あれ・・・手話なんですか」と和也。
「そうよ。あそこに立ってる子いるでしょ。あの子もここの卒園生でユリちゃんって言うの。ゆりちゃんは耳が聞こえないから、リュウジ君は手話を交えながら歌ってんのよ」 京子先生の視線の先には、子どもたちに囲まれて笑顔でリズムを取っているかわいらしい女の子が立っていた。
そうだったのか・・・俺は知らなかったよ。リュウジにそんなつらい過去があったなんて・・・
「俺も何か手伝わして下さい」
「僕も手伝う」
「わたしも」
和也に続くサトシと加里奈。
「それじゃ・・・子どもたちにお菓子を配ってもらおうかしら」
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