きみへのおくりもの
和也たちは京子先生と一緒にお菓子を配ったり、タンバリンを叩きながら歌ったりと、楽しいお誕生会のひとときをすごした。
サトシママはそんな姿を温かい目で見守っていた。
そうして、お誕生会も終わりに近づいたとき、リュウおばちゃまがホールの中央に立った。
「最後にリュウおばちゃまが魔法でプレゼントを上げよう。その前に、そこの松葉杖のお兄ちゃん〜立ってごらん」
サトシは何が始まるんだろうと、怪訝に思いながら立ち上がった。
「このお兄ちゃんは足が悪いのに、今日はみんなのためにわざわざ遊びに来てくれたんだよ〜そのお礼にリュウおばちゃまが魔法で歩けるようにして上げよう」
言って、サトシの前でかが見込み、両足を撫でて「お兄ちゃんの足が歩けるようにな〜れ〜 えい☆☆」
とおまじないをかけた。 「さぁ〜歩いてごらん。あとはお兄ちゃんの勇気次第だ」
ホールの片隅まで駆けてくるりと回り、両手を広げる。
サトシは床に松葉杖を置いて、びっこを引きずるようにして歩きだした。
子どもたちは、真剣なまなざしでサトシの歩く姿を見つめている。
静寂に包まれる中、勇気を出してゆっくりと歩を進めるサトシ。
「よし!よくやったー」
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