きみへのおくりもの
「さぁ〜歩いてごらん」
かおりちゃんがゆっくりと頷く。車椅子から立ち上がって歩き始めた。
みんながその姿を静かに見守っている。 一歩・・・二歩・・・三歩・・・ 「あっ!」
かおりちゃんが三歩目のところで倒れてしまった。
京子先生が三歩目のところで倒れてしまった。
京子先生がかおりちゃんのところに駆け寄ろうとする。が、和也はそれを制した。
「まだ終わってない」
もう一度立ち上がって、自分の力で歩き出すかおりちゃん。
一歩、一歩、力強く・・・。「やったー♪」
かおりちゃんがリュウおばちゃまのところまで辿り着くと、男の子が叫んだ。
「かおり・・・歩けた・・・」
「うん。あとは少しずつ練習すればもっとたくさん歩けるようになるよ。かおりちゃん、お誕生日おめでとう」
リュウおばちゃまはにっこりと笑って、かおりちゃんの頭を撫でた。 こうして、星明学園のお誕生会はお開きとなった。

「和也!」
園内の駐車場に止めていた車に乗り込もうとしているところに、リュウジが走って来た。
リュウジはリュウおばちゃまからいつもの姿に戻っている。
「今日はありがとうなっ」 「こっちこそ、楽しかったよ」
「心臓病もサンキュー」
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