きみへのおくりもの
「うん。僕もまさかあんなサプライズがあるとは思わなかった」
「俺・・・お前と一緒に海行ったとき、自分で少し歩いたの見て思ったんだ。お前は歩けないような身体なんかじゃないって。ここにいる子たちと同じで、心の傷が原因で歩く勇気がないだけなんだってな…」
「かおりちゃんも歩けたし、リュウおばちゃまはホントの魔法使いみたいだね」
「かおりちゃんは親と歩道を歩いてるときに車に突っ込まれて右足を骨折したんだ。けど、親が犠牲になって死んぢまった。 俺には事故で家族を奪われることがどんなにつらくて苦しいことか痛いほどわかるから、何とか元気だけでも取り戻したかった。でも、かおりちゃんは、心を開いてくれるようになったものの、歩くのを怖がってリハビリもしない。もう足の方はとっくに治ってるのに・・・だから、今日はそのきっかけを作ってやろうって思って・・・」
「リュウジ・・・」
「かおりちゃんが歩けたのは、リュウおばちゃまの魔法なんかじゃねェ。心臓病、お前がかおりちゃんに勇気を与えてくれたからだ。感謝してるぜ」
「うん…」
俯くサトシの肩を和也がポンッと叩く。
「サトシ、いつか言ったよな。僕は心臓を少しでも長く動かすためにずっと病院にいなくちゃならないのかって…サトシだって俺たちと同じだ。自分の思ったとおり生きてみろよ。きっと答えが出ると思うぜ」
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