きみへのおくりもの
「高校生?」
「うん。来週から高3。受験生ってヤツだよ」
「そうなんだあ」
「結婚・・・するんですか・・・」
「え?」
「いや、さっきウェディングドレス見てたから」
「ううん。わたしもあんな素敵なウェディングドレス着れたらいいなって思って・・・そしてね、好きな人の子ども産んで、普通の人とおんなじような幸せが味わいたい♪ーそれがわたしの夢なの」 「夢だなんて・・・あなたみたいなきれいな人だったら、ゼッタイあのウェディングドレスだって着れるし、好きな人のすげーかわいい子どもだって産める。俺が保証してもいいよ」
本音だった。
彼女は軽い微笑を浮かべてから
「ありがとう。何かお礼しなきゃね」
「そんな気にしないで下さい。当たり前のことしただけだから」
「そぉ、じゃお言葉に甘えて・・・ほんとにありがとうございました」
深々と頭を下げた。
和也はなんだか照れ臭くなって頭をかきながら目をそらした。
バス停に到着。
姉貴の姿も放り投げてしまった紙袋もどこにも見当たらない。
ひとりで帰っちゃうなんて・・・悪いのは俺のほうかもしれないけど、今はそんなことはどうでもよかった。1分、1秒、この瞬間を少しでも長く彼女と共有しているこ
< 5 / 37 >

この作品をシェア

pagetop