からふる・ぱれっと

…俺は欲しくて仕方ないくせして、結局それ以上は手を出せず、寝室を出た。


…本当は欲しかったくせに、意気地なし。


頭の中で響く嫌な幻聴に耐えながら、朝が来るのを待った。



日が高くなってきた頃だった。


ガタッ!!


寝室から物音がして寝室に向かった。


「ここここはど、どこですか?!」


どうやら汐莉は昨日の記憶がないようだ。


「あ、お客さん、やっと起きましたか!」


「…お客さん?」


「酔っぱらってて、寝ちゃったんで、店に置いて帰るわけにもいかないから、仕方なく俺の家に連れて帰ったんです。」


「嘘っ!!すみませんっ!!」


「いえいえ。それより酔いは覚めましたか?」


「はい!」


ぐぅ〜。


汐莉のお腹が鳴った。


「…すみません。」


「あははっ。今、何か作りますね。フレンチトーストとコーヒーでいいですか?」


「ありがとうございます!!」


汐莉は嬉しそうに笑った。

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