からふる・ぱれっと

勝手口のドアを引く。


突き当たりの部屋が先輩のバンドの部屋。


私はいつもそこで先輩の奏でる歌を聞く。


「よう、南!」


声の主はこの店のオーナーだった。


「オーナー!」


「今日もハルキか?」


「そう!筒井先輩!」


「お前、毎日毎日飽きねぇ奴だなぁ。」


「筒井先輩は特別なの〜。」


「へいへい。それは良うござんした。」


オーナーは手をひらひらさせて、店に戻ってった。


本当にオーナーは勿体ない人だ。


オーナーは見た目はまぁまぁかっこいいのに、ああいう性格だから、あんまりモテなさそうだと私は思う。


…先輩がオーナーはああ見えてモテてるって言ってたけど。


性格が良ければ、私のタイプなのに。


そうは言っても、一番は先輩だけどね。


先輩は鈍感だから気付いてくれないけど…。

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