からふる・ぱれっと

ふと、汐莉のことを思い出して、頬を涙が伝った。


思い出してしまったことに後悔した。


店で泣くなんて俺としたことが…。


チリンチリン。


ドアが開いてドアのベルが鳴った。


入ってきた客は迷わず、俺の前のカウンターに座った。


俯いてた顔を上げる。


「いらっしゃ…。」


「明良君。」


目の前に居るのは…。


「フレンチトーストのレシピくれるって約束だったよね?」


笑ってそう言ってきたのは…。


「明良君?」


「汐莉っ!!」


気付けば、俺はカウンター越しに汐莉を抱き締めてた。


「ちょっ…明良君?!」


「汐莉…。汐莉だよな…?」


「うん…。」


「会いたかった…!」


「うん…。」


俺は力強く抱き締めた。

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