からふる・ぱれっと
「綾香さんは牧元君が別れたくなった理由を聞きましたか?」


雪子ちゃんがいきなりそんなことを聞いてきた。


「えっ…?」


その反応でわかったのか、雪子ちゃんは話し始めた。


「私、牧元君によく相談されてて…メールとか、電話とかしたり、たまに二人で帰ってました。」


雪子ちゃんはゆっくりとはっきりと続けた。


「今更だけど、牧元君には家まで送って貰うこともあったので、ごめんなさい。」


…家まで送って貰った?


「…で、別れた日、牧元が言ってたんです。綾香さんは重たいし、私の悪口も言うし、あんな女だと思わなかったって…。」


重たい…?


「だから、牧元君と寄りを戻そうなんて思わない方がいいですよ。」


雪子ちゃんは最後に付け加えた。


「…牧元君は、綾香さんのこと好きじゃないんですから。」


…知ってる。


でも、知らない。


「…ふーん。」


うちはひきつった顔で無理矢理笑った。


綺麗事が崩された音がした。

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