[SSS~SS集] 曖昧エレジー
◆モノクローム
( @: SS)
大っ嫌い
こんな世界が。
大っ嫌い
こんな人々が。
大っ嫌い
こんな自分が。
「…――死ぬの?」
私以外、誰もいないはずだった放課後の屋上。今にも飛び降りる寸前だった私は、不意に聞こえてきた声に、思わず足を止める。
そして仕方なく視線を向けた先、銀髪の見知らぬ男子生徒が眠そうに私を見下ろしていた。
だから、
「うん、死ぬよ。」
そう躊躇うことなく紡いだ言葉。
刹那、その男子生徒の瞳が微かに揺らいだ。切れ長な瞳が、探るように私を捉える。そして、
「ふぅん。じゃあ早く飛びなよ。
俺が最期、見届けてやるから。」
彼から紡がれた予想外の言葉に、思わずビクリと肩が揺れたのがわかった。
誰も私の死を止めてはくれない、そんなことわかってたはずなのに、絶望に似た気持ちが私を蝕む。動揺を隠しきれない私に彼は続けた。
「本当は死ぬ勇気なんて、ないんだろ。結局お前は、誰かに止めてほしいと願ってただけだ。」
虚勢も見栄も、自分の弱さを隠すため。見破られた真実に、きらめく銀髪に、私の脆弱な世界は崩壊した。
モノクローム
( あなたと出会って )
( 私の世界は色づいた )