[SSS~SS集] 曖昧エレジー
◆残酷な優しさ
( @:SSS )
「幸せに、なってね。」
別れ際、泣きそうな顔で彼女は言った。
それはきっと彼女にとって、自分が僕の恋人として存在する時間で見せる、最後の優しさだったのだろう。
けれど、それが何だっていうんだ。
君なしで、どうやって僕が幸せになれる?
今まで2人で、幸せになろうとしていたんじゃないのか?
でもそんな表面的なことよりも、彼女の言葉が暗に示す意味に胸が痛む。
『幸せに、なってね。』
だって、そうだろう?
まるで他人事であり、投げやりにでもなったかのような、その言葉。
僕には君じゃなくて、
君には僕じゃない、別の誰かと。
要するに、君にはもうこれっぽっちだって、僕と幸せになる気は無いのだ。
残酷な優しさ
( その優しさはただ、 )
( 僕の心を壊すだけ )