僕は君のために口笛を吹く
僕の秘密
あ…。
あれは…美月!?
悲しそうに微笑んで、俺に背をむけた。
待ってくれ!!
俺はまだ君に−…!
そこまで叫びかけると、美月の隣に“アイツ”がやって来た。
二人で幸せそうに肩を並べていく…。
待ってくれよ!
美−…!!
美月の肩に触れた瞬間、二人は消えた。
こんなのばっかりだ…。
俺は膝を着いた。涙も出なかった…。
“悲シイノカ?”
え…?
声だ…。でも、誰の…?
“私ハ…オ前ダヨ”
俺…なのか…?
“アァ。無ダッタコロノ…ナ”
何でここに居るんだよ。
“フン、随分ト強イ口調ダナァ”
馬鹿にしてるのか?
“イイヤ。憐レンデルノサ”
変わらないだろ…!
“怒ルナヨ、あどばいすシニ来キタンダ”
アドバイス…だと?
無のお前に何が出来るんだ!
“出来ルサ。私ハ…オ前ナノダカラ”
え…!?
突然目の前に少年が現れた。
“無は全てを吸収する…。そうだろ?”
それは…俺の姿なのか…!?
“解らないのか。鏡にも映らないもんなぁ?”
嘲笑うような口調。くそ…ムカツク!
“アドバイスだったな…そうか…”
少年はスタスタと歩き始めた。
“オ前ノちからハ残リ少ナイ…。オ前ハ 『光』ヲモウ見ツケテイル。
ソウダロウ?”
少年は姿を消し、再び響くだけの声となった。
ひかるの事か…!?
“サァナ。アト二回ダ。アト二回デ、オ前
ハ−…!”
『…っうわぁ!』
俺は勢いよく体を起こした。
そこはひかるの部屋で、下にはタオルケットが敷いてあった。
「…つき…」
左側のベッドには、浮かない顔をしたひかるがいた。