キミに真心をこめて

今目の前に立っている少年は、池中渚。遥の弟で、俺の四つ下。今年小学校六年生になったやつだ。


渚とは一回しか会っていないし、会ったのは渚が九歳の頃だ。


たった三年で、渚は背も伸びかっこよくなった。小六には見えねぇな。


『ゆう兄、いきなりどうしたの??住んでるとこがまだあの街なら、新幹線でわざわざ来たの??』


『あ〜…。うん、ちょっと遥に用があって…。遥いるか??』


『………あ。』


遥の名前が出た瞬間、あからさまに渚の顔が曇った。


これは何かある。きっとある。


まさか遥は俺の事を嫌ってて、渚に愚痴を言ってるとかー…??


でも、よく考えてみれば俺の事を嫌っているなら、助けを求める手紙なんかよこさないはず。


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