キミに真心をこめて

お互い終始無言で時が流れていく。


渚は喋らないどころか、下を向いてしまった。


一回退いたほうがいいな。


そう考えているときだった。


『もしかして…佐瀬君!?』


人の心を優しく包むような声。振り向いた先にいたのは、買い物袋を持った遥の母親だったー…。


『あ、お久しぶりです…。』


目の前に突然現われた俺を見て、遥の母親は相当驚いている様子だ。


でも、遥によく似た、いや遥が似たのか。ふんわりとした笑顔で


『久しぶりね。元気だった??』


この笑顔を見て、俺の不安や緊張は一気に解けた。


安堵。今の俺はただ、ほっとしていた。

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